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雑草魂エンジニアブログ

スマートエスイー(Smart SE)の正規履修を修了して(2021/04-09)

めちゃくちゃ久しぶりのブログ更新になってしまった。アウトプット習慣を定着させていたが、最近は目の前のことに追われすぎて、かなりサボってしまった。

今回は、4〜9月まで受講していたスマートエスイー(Smart SE)を無事に修了できたので、そちらの振り返りを残しておきたいと思う。スマートエスイー(Smart SE)に少しでも興味がある方の参考になればと思う。

スマートエスイー(Smart SE)とは

スマートエスイーは、「Smart Systems and Services innovative professional Education program」の略称である。

スマートエスイーは早稲田大学を中心とし、WASEDA NEO(東京都コレド日本橋)を拠点に第一線の教育者・研究者・実務家が、超スマート社会を国際的にリードするイノベーティブ人材を育成するAI・IoT・ビッグデータ技術分野のビジネススクールとしての社会人学び直しプログラムです。文部科学省平成29年度「成長分野を支える情報技術人材の育成拠点の形成」enPiT-Proに早稲田大学が代表校として申請し採択されたものです。

詳細は、HP で確認してみてほしい。

また、カリキュラムに関しては、以下の3つのパターンがある。

  • 正規履修
    • 実践的なスキルを6カ月で習得する集中プログラム
    • 4月‐9月(6カ月)
  • コース履修
    • 時間に縛られず、AI・IoT技術をコンパクトに学べるプログラム
    • 10月‐2月(4カ月)
  • 科目スポット履修

詳細は、こちら で確認してみてほしい。

受講目的

私が、スマートエスイーを知るきっかけになったのは、IoTシステム技術検定中級(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム主催)を受験したときであった。

私自身、WEBアプリケーション開発を2年ほど経験し、クラウド、アプリケーション含め大枠の全体像を把握することができていた。しかしながら、ハードウェアを含むIoTシステムに関しては、知識が疎い状態であった。そんな中、スマートエスイーのAI・IoT・ビッグデータ技術分野を体系的に、横断的に学習できる部分に、私はすごく惹かれたのであった。

また、正規履修であれば、専門実践教育訓練給付金が使えることも、個人で履修することを検討していた自分にとっては大きなメリットであった。(実際には、企業から派遣される形で参加されていた方と個人参加は半々ぐらいかな?っという体感だった。)

選考に関しては、志望理由書と学歴および職歴書を提出するのみだった。

正規履修を経験して

2021年の正規履修は、スマートエスイー4期生であり、約30名の同期がいた。 本当に様々なバックグラウンドを持った方が参加されていた。大手メーカーの技術職の方(若手〜ベテランまで)、SEの方、事業開発の方、主婦の方など、様々だった。

本来であれば、早稲田のキャンパスに足を運び、みんなで講義室で授業を受ける予定だった。しかしながら、コロナの緊急事態宣言下ということもあり、全ての講義がオンラインで実施された。(直接同期のみんなとお会いできなかったことが少し残念でした。。。)

正規履修に関して、大きく以下のスケジュールで行われた。

  • 4-6月:講義受講
  • 7-8月:修了制作
  • 9月:修了制作発表・審査

講座受講

講座受講に関しては、修了制作を除く全18科目から、私は15科目を選択した。

  • 総合実践領域
    • K01 スマートIoTシステム開発実習
      5人前後でのチーム開発で要件定義からPoCまでのシステム開発を行った。自分のチームでは、タクシーシェアリングサービスを考えて、PoCのWEBアプリまで開発を行った。実際に、議論しながら、期限内にシステムに落とし込むことを実践を通して体験することができた。
  • ビジネス領域
    • K06 IoTイノベーション
      国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)と共同実施科目だった。SmartSEのメンバーだけでなく、JAISTの社会人メンバーとも交流することができた。デザイン思考の要求工学やサービスをどのように構築すべきか、手法も含め学ぶことができた。
    • K17 IoTとシステムズアプローチ
      ゴール指向やBABOK、SysMLなどシステムズエンジニアリングの概要および整理の仕方を学ぶことができた。要求の曖昧さと落し込みの難しさを実習を通して、更に実感することができた。
  • アプリケーション領域
    • K07 アーキテクチャ
      IoTシステムのアーキテクチャ設計の概要さらには実習を通して、ADDを把握することができた。さらに、BridgePoint(xtUML)を用いたモデル駆動開発を体験することができた。
    • K19 品質エンジニアリング
      開発プロセスやDevOpsについて知見を深めることができた。また、モデル検査ツールNuSMVを用いて実習を行い、理解を深めることができた。
    • K08 セキュリティ・プライバシ・法令
      商用利用する上で、知らなかったではすまされない、セキュリティ・プライバシ・法令に関して、最近のTopicsなども交えて学ぶことができた。ビックデータにおける匿名化なども実習を通じて体験することができ、理解を深めることができた。
    • K09 組込み・リアルタイムシステム
      GR-SAKURA, RaspberryPiを実際に動かす実習が主であった。組み込みにおける基礎を改めて理解することができた。最後にはオリジナルシステム開発の演習があり、簡易的な姿勢検知システムを開発できた。
    • K10 クラウドサービス・分散システム
      分散システムにおける基礎理論(プロトコルアルゴリズムなど)を学んだあとに、実習を行った。OpenStackのHeatを用いて、オーケストレーション演習をしたり、Ansibleでの自動化などを行った。演習が豊富で理解を深めることができた。
  • 情報処理領域
    • K11 ビッグデータマネジメント・アナリティクス
      ビックデータの現状と実際に利用する場合の難しさを知ることができたように思う。実際の医療データから特徴を抽出する演習やCassandraを用いたクエリ設計演習など、個人的にやったことないことばかりで、難しかった。
    • K12 推論・知識処理・自然言語処理
      人工知能(AI)の基礎や理論的な部分はすごく学術的で、個人的に全講義の中で一番理解するのが難しかった。正直、表面的な理解までしかできなかったように思う。
    • K13 機械学習
      演習中心で、機械学習の基礎を一通り学ぶことができた。機械学習をやったことがなかった自分としては、とてもいい機会になった。
    • K18 深層学習
      pytorchの演習中心で、深層学習の基礎を学ぶことができた。オートエンコーダーや敵対的学習(GAN)などは非常に面白かった。
  • 通信・物理領域
    • K14 クラウド基盤構築演習
      AWSに代表されるクラウド基盤がどのように構築されているのか、OpenStackの演習を通して理解を深めることができた。
    • K15 無線通信・IoT通信・センサネットワーク
      理論どおりにはいかない通信の現状を実体験なども含め、教えていただくことができた。また、RFIDなど、最近のトレンドも教えていただき、とても有益であったように思う。
    • K16 センサ
      動画を見ながらの自学習であったが、センサなども全て用意いただき、自宅で実験をしながら理解を深めることができた。アナログ回路などの実験は、大学時代に戻ったようで楽しかった。

修了制作

私はIoTのシステム開発、特にデバイス側をやったことがなかったので、どのようにしてデバイス開発を行うべきなのか検討を行った。その中で、講義の中でも紹介されたSysMLを用いて、仕様書から直接コードに落とし込むのではなく、きちんとモデリングをしてシステム全体を設計することに挑戦してみた。

振り返り

この半年間を通して、とても多くのことを学ぶことができた。平日の夜間(18:20-21:30)と土日に講座を受け、合間に課題をこなし、なかなかハードな日々だったが、同期の存在と家族の支えもあり、どうにか乗り越えることができた。本当に感謝しかない。ただ正直なところ、「学習はやはり自分でするものであり、教えてもらうものではない。」これを改めて実感することができた。短時間かつ密度の濃い授業は正直、あくまで「学習のキッカケ」でした。授業内で全てを理解できる人もいるとは思うが、私にとってはキッカケであり、そのキッカケがあったことで、授業以外の内容も自分で調べることで、理解を深めることができたように思う。機械学習や深層学習などにも以前から興味があり、いつかやろうと思っていたことも、今回のキッカケがあったことで、一端に触れることができた。本当に有意義な機会をいただけ、感謝しかない。

最後に

本プログラムに携わってくださった先生および担当者さまに、心から御礼申し上げます。とても有意義な時間を過ごすことができました。今回の経験を実務に活かしていけるよう、これからも精進していきたいと思っています。

本プログラムの修了が認められると、早稲田大学の履修証明書が発行されます。これは、学校教育法第105条の規定に基づくものであり、履歴書の学歴欄に記載も可能です。

とても立派な履修証明書もいただきました。ゆえに、私の最終学歴は早稲田大学になりましたw

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