機械製図におけるマインドセット
機械図面におけるマインドセットに関して、「図面ってどない描くねん!現場設計者が教えるはじめての機械製図 第2版」から、学んだことをまとめておく。
設計図面を書けば、その通りのモノがきちんと完成品として出来上がってくる。という夢物語ではなく、モノづくりの大変さ、そして面白さを再認識することができた。
自分が勘違いしていたり、意識できていなかった部分を的確に示してくれた。まだ全然理解できていない部分もあるが、機械図面の設計において、重要なことは製図に対する向き合い方であると思えた。(主にマインドの部分。書き方に関しては、JISを参照してほしい。)
設計者の意図を図面に反映させよ
図面に寸法数値を記入しても、実際に加工した場合は寸法数値と全く同じ寸法に仕上げることはできない。寸法数値は、あくまでも加工の目標値である。
モノを加工するには、必ず加工ばらつきを許容する必要がある。
設計された部品がどのような機能を持ち、どこの寸法精度が必要かを理解し、最適な寸法配列を選択する必要がある。 それが、設計者の意図を図面に反映させるということである。
寸法測定は基準面をしっかり意識する
F:機能寸法 NF:非機能寸法 AUX:参考寸法
寸法に関して、「どこからの寸法を規定したいのか」基準面をしっかりと意識することが大切。 どの方向でもいい場合は、中心基準で寸法をいれるべきである。
性能とコストのバランスを考える
寸法公差には、正解がない。(公差を表示しない寸法数値には普通寸法公差が適用される。) 性能とコストは相反する関係にある。
性能とコストのバランスを考えて、数値を決定する必要がある。 ただし、製品の性能は構造によって決定されるので、公差を厳しくしても性能はそんなに変わらない。
寸法記入の一般原則は、守るべし
寸法記入の一般原則
- 寸法は、対象物の大きさ、姿勢および位置を明確に表すのに必要十分なものを記入する。
- 図面に示す寸法は、特に明示しない限り、その図面に図示した対象物の仕上がり寸法を示す。
- 寸法は、なるべく正面図に集中する。
- 寸法は、必要に応じて基準とする点、線または面を基にして記入する。
- 対象物の機能上必要な寸法(機能寸法)は必ず記入する。
- 寸法は、なるべく工程ごとに配列を分けて記入する。
- 関連する寸法は、なるべく1ヵ所にまとめて記入する。
- 寸法は、重複記入を避ける。
- 寸法は、なるべく計算して求める必要がないように記入する。参考寸法については、寸法数値に括弧をつける。
- 寸法には、機能上必要な場合、寸法の許容限界(寸法公差)を指示する。
寸法記入で大切なのは、ロジック
設計意図を表す寸法を記入するためのポイントは、ロジック(論理)で考えることである。
- 寸法基準を決める
- 機能上のばらつきを最小限にするための寸法配列に気をつける
- 誤認識されないように、関連する寸法はまとめて記入する
そして、寸法漏れを防ぐために重要なことは、設計者自身が加工者になり、寸法を確認することである。
寸法公差と幾何公差
寸法公差は、「大きさ」を定義する →2点間距離があるべき大きさからのばらつきを定義する。
幾何公差は、「カタチ」を定義する →反りや角度ズレ、位置ズレなどを指し、カタチがあるべき形状からの変化の度合いを定義する。
寸法公差と幾何公差の違い
- 測定の解釈
幾何公差は、データムで指示した面(ゲージ面)からの距離を測定するので、測定の曖昧さが極めて小さくなる - 領域の考え方
寸法公差の場合、公差領域は四角い形状にしかならない。幾何公差の場合、指示の仕方によっては、公差領域を円や四角い形状にできる。円にすることで、許容できる範囲を増やすことができる。
まとめ
機械製図におけるマインドセットを学ぶことができたように思う。機械製図の設計や詳細な書き方は、実践を通して学びつつ、吸収していきたい。